銀座 古書の市

例年、松屋銀座にて開催される「銀座 古書の市」のお知らせブログです。

会場販売品のご紹介 仙厓(フロイス堂)

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〈会場販売品〉

仙厓義梵「大黒天図」
紙本墨画 自賛 81×27.5cm 江戸時代後期 竹田黙雷箱書

仙厓といえば、白隠とならんで、近世禅林絵画の重要な人ですが、近年は特に「かわいい」とか「ゆるい」などといったキーワードで紹介されて、多くの人に人気が広まってきています。(その是非はともかく)この絵の大黒天の笑顔は、見ているだけで確かな多幸感を感じさせてくれます。

学生時代に禅宗美術を勉強していて、仙厓の画賛をある程度まとめて調べたことがあったのですが、全く読めなかった思い出があります。癖がある字なので、翻刻があっても、字と対照してなんでこの字がこうなるの?と、そのころ、崩し字を勉強し始めたばかりの自分ではまるで理解ができなかったのです。

さて、本図の賛は「欲の皮の袋がさけて槌打て一文の銭破りて遣はん」と読んでみましたが、「さけて」の「さ」はちょっとつまずくところ、「破りて」の「り」があるかないかは微妙なところ、最後の「遣はん」も少し自信がありません。学生時代から少しは成長はしましたが、まだまだ勉強は続くようです。

 

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『円通禅師遺墨』
岡部雪庵編 堺宗一郎版 明治27年 半紙本 原装

こちらは明治27年に博多で刊行された仙厓の遺墨集です。遺墨集といっても、全て木版で本にあわせて縮写されたものなので(縮写は坂本龍馬とも交流した土佐の絵師河田小龍です)、近世の画譜・絵手本の流れをくんでいます。この本、個人的に大好きなのですが、紙が薄く、次丁の絵が透けてみえてしまうのを前々から残念に思っていました。そこで販売品には袋綴の中に薄い和紙を全て入れてみたところ、はっきりと絵が見えて魅力が倍増。是非会場にてお確かめください。
(写真:利休画賛 古書の市併催の利休展にあわせて)