銀座 古書の市

例年、松屋銀座にて開催される「銀座 古書の市」のお知らせブログです。

いよいよ明日から!

「銀座古書の市」本日は搬入日です。古書店が17軒集まって会場を本や絵画やいろいろな紙もので埋めるとなるとものすごい量です。

いよいよ明日1月4日(土)10時からです。併催の「利休のかたち 継承されるデザインと心」と合わせてぜひご来場ください!一同心よりお待ちしております。

 

「銀座古書の市」
2020年1月4日(土)~8日(水)
松屋銀座 8階イベントスクエア
午前10時~午後8時
* 5日(日)は午後7時30分まで、最終日は午後5時閉場

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浮世絵の初刷りと後刷り [原書房]

現代の版画作品と違い、浮世絵にはエディション番号がありません。大衆メディアとして発達してきた浮世絵ですからそもそも美術品や限定品のような概念がないのです。
さて、お客様によく聞かれることが「これは初刷りかい?」
難しい質問です。浮世絵で「初刷り」というと一般的には初めの200枚位までの極刷りの良いもの(細かい線がシャープに刷れているもの)を指します。木版画ですから後になるほど版木が摩滅してきて線が粗くなります。厳密には「どこまでが初刷り」ということはないのですが、中には初刷りには色数が多かったり、ひと手間多かったり、版画違ったりするものがあります。
目録の54ページに掲載した42番と43番に、歌川広重東海道五十三次 小田原 酒匂川」天保4年、がそうです。

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↑42番 こちらが初刷り

 

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↑43番 こちらが後刷り

 

背景の山の形がぜんぜん違います。川辺にいる人足の数も違います。何かの理由で版木そのものを彫りなおしているのです。
通常初刷りは絵師の意図を一番反映しているものと考えられます。刷り始めるにあたって絵師が色使いや刷り方について刷り師に細かく指示するからです。しばらくして絵師がいなくなると刷り師は手を抜き、顔料がなくなれば別の色を使ったりします。でも版木を彫り直すということは、誰かの意思(絵師や版元?)が働き、後刷りの図のほうが良いと判断されたわけです。
...この図を見ると初刷りの方がダイナミックでカラフルで良いように思います。版木が壊れてしまったとか、そういう理由なのでしょうか。

さて、皆さんはどちらがお好みですか?会場でぜひ見比べてください。

ところで、最初のお客様の質問です。もちろん初刷りと後刷りで明確な違いのないものもが殆どなので、大概は「早いほうです」とか「遅いほうです」しか答えられないのです。で、上で述べたようなことをがんばって説明するのですが、海外のお客様、特に中国の方はますますわからない、という顔をなさいます。単に「本物かどうか」ということを聞きたかっただけだけなのに、両方とも本物なのに絵柄が違うし、値段も10倍、時には100倍も違うのですから。
ここが浮世絵が中国の方にあまり人気がない原因かとも思います。何百万も出して好きな浮世絵の初刷りを買ったのに、家に飾ってあるその江を見たお友達が他の人に「あれと同じのが8万円で売ってたよ」とか言いふらされては面子丸つぶれですからね。

解剖台の上の(公文堂書店より商品紹介)

「扉に鳥影」 瀧口修造 東京ローズ・セラヴィ 1973年 

 

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扉に鳥影 表紙


 シュルレアリスムに初めて触れたのは高校一年生のころ、横浜美術館で開催された「マン・レイ展」でのことでした。まだ高校一年生だった私は、エルンストもブルトンも、そしてデュシャンも名前しか知らなかったのです。何が何だか分からないけれど挑発されたように感じ、思春期特有の分かったような顔をして店にあったユリイカ美術手帖の特集を読んだことを思い出します。まさかあの時ユリイカで見た作品を三十年後にこの手で扱うことになろうとは。

 宛名はありませんが、作中にある「瀧口修造が描かれた上野紀子の絵」の前に立つ瀧口修造の写真が付きます。詳しいことは、またその時に。

 

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扉に鳥影

 

日本書房の会場販売品

 

 

2019年もあとわずか。今年も面白い展覧会がありました。顔真卿に始まり、五文庫連携の書誌学展やサントリー暁斎、三井の素朴絵などなど。中でも京都国立博物館の佐竹本三十六歌仙は盛況だったようです。会場にて販売するもののひとつに、佐竹本三十六歌仙の木版複製があります。大正頃に切断する前に田中親美監修で制作された二軸の木版複製ではなく、昭和四年に信栄堂にて木版複製されたものです。こちらは、巻子ではなく、月一回、三葉を購入希望者に頒布したものです。はじめから分断されたいたものということになります。こちらを一枚ずつ分売いたします。全三十六枚、一堂に集結、と言いたいところですが、何葉か欠けていますので、叶いませんでした。古色、汚れ、皺、剥落も再現しております。ちなみに掲載写真(家持)のしみはもとのシミではなく、あとからのしみです。増えちゃってました。

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もう一つ、似たような複製ものを紹介します。美麗な料紙、精微な筆致の名物切を複製した、田中親美監修、福田喜兵衛による料紙製作の古筆手鑑『松かけ帖』の未装本を分売いたします。こちらも全葉はありませんが、石山切や高野切、金沢本万葉集など平安時代の美を感じ取れる逸品の数々をご用意いたしました。皆様のご来場お待ちしております。

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会場販売品のご紹介 音楽家のサイン入りプログラム (徳尾書店)

今回は、目録掲載品以外にも音楽関係の自筆ものが多数入荷しています。
会場にご用意する中からいくつかご紹介します。

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ニューヨーク・フィルハーモニー交響楽団 来日公演プログラム 1961年

レナード・バーンスタイン(指揮)小澤征爾(副指揮)ジェニー・トウレル(ソプラノ)
のサイン入り (バーンスタインは2か所)

 

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ヤッシャ・ハイフェッツ サイン入りプログラム 1954年 

伴奏のエマヌエル・ベイのサインも併記 

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◆ジョセフィン・ベーカー サイン入りプログラム 1954年 名古屋公演

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サンソン・フランソワ サイン入りプログラム 1967年 大阪国際フェスティバル


目録掲載品と違い、事前予約なしの会場販売となります。ご興味のある方のご来場をお待ちしております。

会場販売品のご紹介 仙厓(フロイス堂)

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〈会場販売品〉

仙厓義梵「大黒天図」
紙本墨画 自賛 81×27.5cm 江戸時代後期 竹田黙雷箱書

仙厓といえば、白隠とならんで、近世禅林絵画の重要な人ですが、近年は特に「かわいい」とか「ゆるい」などといったキーワードで紹介されて、多くの人に人気が広まってきています。(その是非はともかく)この絵の大黒天の笑顔は、見ているだけで確かな多幸感を感じさせてくれます。

学生時代に禅宗美術を勉強していて、仙厓の画賛をある程度まとめて調べたことがあったのですが、全く読めなかった思い出があります。癖がある字なので、翻刻があっても、字と対照してなんでこの字がこうなるの?と、そのころ、崩し字を勉強し始めたばかりの自分ではまるで理解ができなかったのです。

さて、本図の賛は「欲の皮の袋がさけて槌打て一文の銭破りて遣はん」と読んでみましたが、「さけて」の「さ」はちょっとつまずくところ、「破りて」の「り」があるかないかは微妙なところ、最後の「遣はん」も少し自信がありません。学生時代から少しは成長はしましたが、まだまだ勉強は続くようです。

 

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『円通禅師遺墨』
岡部雪庵編 堺宗一郎版 明治27年 半紙本 原装

こちらは明治27年に博多で刊行された仙厓の遺墨集です。遺墨集といっても、全て木版で本にあわせて縮写されたものなので(縮写は坂本龍馬とも交流した土佐の絵師河田小龍です)、近世の画譜・絵手本の流れをくんでいます。この本、個人的に大好きなのですが、紙が薄く、次丁の絵が透けてみえてしまうのを前々から残念に思っていました。そこで販売品には袋綴の中に薄い和紙を全て入れてみたところ、はっきりと絵が見えて魅力が倍増。是非会場にてお確かめください。
(写真:利休画賛 古書の市併催の利休展にあわせて)